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地蔵菩薩本願経 上巻:経文全文と現代語訳 — 地蔵菩薩の大悲願を理解する

地蔵菩薩本願経 上巻の経文全文と分かりやすい現代語訳を掲載。第一品から第四品までを収録。地蔵菩薩の「地獄未だ空ぜずんば、成仏せず」という壮大な誓願、仏と菩薩の対話、そして一切衆生の業と因果の真相を解説。仏教の教えをより深く学びたい方に最適な入門書です。

Photo by 國際佛光人 | 【地藏菩薩本願經…經文/書法】卷上/十九《分身集會品/第二》 | Facebook

讃仏偈

稽首本然清浄地 無尽仏蔵大慈尊

南方世界湧香雲 香雨花雲花雨降

宝雨宝雲無数種 十方を荘厳し吉祥を為す

天人は仏に問う何の因縁ぞ 仏は言う地蔵菩薩至ると

三世如来同じく讃歎す 十方菩薩共に帰依す

我は往昔に善因縁を種え 今地蔵の真功徳を讃歎す

稽首して本然の清浄地に礼す。無尽の仏蔵、大慈悲の尊者よ。 南方の世界より香雲が湧き起こる。香は雨となり、花は雲となり、雲より花弁が雨のように降り注ぐ。 あらゆる宝物が雨となり雲となり、あまねく吉祥の妙なる荘厳で満たされる。 天人たちは仏に問うた。「これは何の因縁でしょうか。」仏は答えた。「地蔵菩薩が到来したからである。」 過去・現在・未来の三世の諸仏は共に讃歎し、十方の菩薩たちは皆帰依する。 我は過去世に善き因縁を植えたが故に、今ここに地蔵菩薩の真の功徳を讃歎するのである。

慈因積善 誓って衆生を救済せんと誓う

手中の金錫 地獄の門を振り開く

掌上の明珠 光は大千を照らす

智慧の音声の中に 吉祥雲の内に

閻浮提の苦しむ衆生の為に 大いなる功徳と証しの主となる

大悲 大願 大聖 大慈

本尊地蔵菩薩摩訶薩

慈悲の心をもって善行を積み、一切衆生を救うと誓願される。 手中の金錫をもって、地獄の門を振り開く。 掌上の明珠は光を放ち、大千世界をあまねく照らす。 智慧の音声の中に、吉祥の雲の内に、 閻浮提(我らの住む人間世界)の苦しむ衆生のために、最も偉大なる帰依処となり守護者となられる。 大悲、大願、大聖、大慈 —— 地蔵菩薩摩訶薩(摩訶薩とは「偉大なる存在」の意)。

開経偈

無上甚深微妙の法

百千万劫にも遭い遇うこと難し

我今見聞し受持することを得たり

願わくは如来の真実義を解せんことを

この無上にして甚深微妙なる法は、 百千万億劫(劫とは極めて長い時間の単位)をかけても、出遇うことは極めて難しい。 今、私は幸いにもこれを聞き、見て、学ぶことができた。 願わくは、仏が私たちに伝えたいと願われる真理を、真に理解できますように。

地蔵菩薩本願経 上巻

第一品 忉利天宮神通品

忉利天宮にて釈迦牟尼仏が母のために法を説く。十方無量の世界から諸仏と菩薩が集い来たる場面。

如是我聞。一時、仏は忉利天に在りて、母の為に法を説きたまう。

このように私は聞きました。あるとき、仏は「忉利天」(三十三天とも呼ばれる、天の神々が住む天上界)に赴き、母のために法を説かれました。

その時、十方無量の世界より、言い尽くせぬほど不可思議な数の諸仏と大菩薩摩訶薩が、皆集い来たりました。皆、釈迦牟尼仏がこの五濁悪世において、不可思議なる大智慧と神通力を現じ、頑固なる衆生を調伏し、苦と楽の法を知らしめることを讃歎しました。それぞれの仏は侍者を遣わして世尊に問候を伝えました。

その時、東西南北、上下の十方から、数え切れぬほどの世界より、言い表せぬほど多くの諸仏と大菩薩たちが皆集まりました。皆、釈迦牟尼仏を讃えました。この不浄と悪に満ちた世界(五濁とは我らの不完全な世界を指す)において、不可思議なる大智慧と神通力を現し、あの頑固で意固地な衆生を教化し、何が苦しみで何が幸せかを理解させることがいかに素晴らしいことかと。それぞれの仏は侍者を遣わして、仏に挨拶を伝えました。

その時、如来は微笑みて百千万億の大光明雲を放ちたまう。所謂、大円満光明雲、大慈悲光明雲、大智慧光明雲、大般若光明雲、大三昧光明雲、大吉祥光明雲、大福徳光明雲、大功徳光明雲、大帰依光明雲、大讃歎光明雲なり。かくの如き不可説なる光明雲を放ちて後:

この時、仏は穏やかに微笑まれ、百千万億もの大光明雲を放たれました。これらの光明雲には多くの名がありました。円満の光明雲、慈悲の光明雲、智慧の光明雲、般若(最高の智慧)の光明雲、三昧(深い禅定、すなわち深い内なる平安の境地)の光明雲、吉祥の光明雲、福徳の光明雲、功徳の光明雲、帰依の光明雲、讃歎の光明雲——言い尽くせぬほど多くの光明雲を放たれたのです。

また種々の微妙なる音声を出したまう。所謂、檀波羅蜜音、尸波羅蜜音、羼提波羅蜜音、毘離耶波羅蜜音、禅波羅蜜音、般若波羅蜜音、慈悲音、喜捨音、解脱音、無漏音、智慧音、大智慧音、獅子吼音、大獅子吼音、雲雷音、大雲雷音なり。

仏はまた種々の妙なる音声を発せられました。布施(施し——良きものを人と分かち合うこと)の音、持戒(戒律——戒めを守ること)の音、忍辱(忍耐——寛容にして怒らざること)の音、精進(努力——怠けず励み続けること)の音、禅定(瞑想——心を静かに集中させること)の音、般若の智慧の音、慈悲の音、喜捨の音、解脱の音、清浄にして煩悩なき音、智慧の音、大智慧の音、威厳ある獅子吼の音、さらに大いなる獅子吼の音、雲中の雷の音、さらに大いなる雲雷の音を。

かくの如き不可説不可思議なる音声を発し終わりて、娑婆世界及び他方の国土より、無量億の天、龍、鬼、神もまた忉利天宮に集い来たれり。即ち四天王天、忉利天、夜摩天、兜率天、化楽天、他化自在天、梵衆天、梵輔天、大梵天、少光天、無量光天、光音天、少浄天、無量浄天、遍浄天、福生天、福愛天、広果天、無想天、無煩天、無熱天、善見天、善現天、色究竟天、摩醯首羅天、乃至非想非非想処天なり。一切の天衆、龍衆、鬼衆、神衆、悉くこの会に来集せり。

これらの言い尽くせぬ音声を発し終えると、我らの娑婆世界(この世界の名)及び他の国土より、数え切れぬほどの天、龍、鬼、神もまた忉利天宮に集まりました。最も低い四天王天から、忉利天、夜摩天、兜率天、化楽天、他化自在天、さらに梵衆天、梵輔天、大梵天、少光天、無量光天、光音天、少浄天、無量浄天、遍浄天、福生天、福愛天、広果天、無想天、無煩天、無熱天、善見天、善現天、色究竟天、摩醯首羅天、そして最も高い非想非非想処天に至るまで——一切の天衆、龍衆、鬼衆、神衆が、皆集い来たりました。

また他方の国土及び娑婆世界より来たれるものあり。海神、江神、河神、樹神、山神、地神、川沢神、苗稼神、昼神、夜神、空神、天神、飲食神、草木神なり。かくの如き諸神、悉くこの会に来集せり。

また、他の国土と我らの世界から様々な神々が来ました。大海を司る海神、大河を司る江神、水路を司る河神、森林を司る樹神、山々を司る山神、大地を司る地神、河川と湿地を司る川沢神、収穫を司る苗稼神、昼を司る昼神、夜を司る夜神、虚空を司る空神、天の神、食物を司る飲食神、草木を司る草木神——これら全ての神々が集い来たりました。

また他方の国土及び娑婆世界より、多くの大鬼王来たれり。所謂、悪目鬼王、噉血鬼王、噉精気鬼王、噉胎卵鬼王、行病鬼王、摂毒鬼王、慈心鬼王、福利鬼王、大敬愛鬼王なり。かくの如き鬼王、悉くこの会に来集せり。

また、他の国土と我らの世界から多くの大鬼王が来ました。恐ろしき目を持つ悪目鬼王、血を啜る噉血鬼王、精気を吸い取る噉精気鬼王、胎卵を食らう噉胎卵鬼王、病を振りまく行病鬼王、毒を集める摂毒鬼王、慈しみの心を持つ慈心鬼王、福を授ける福利鬼王、敬愛に満ちた大敬愛鬼王——これら全ての鬼王も集い来たりました。

その時、釈迦牟尼仏は法王子なる文殊師利菩薩摩訶薩に告げたまう。汝、これら一切の諸仏、菩薩、天、龍、鬼、神を観ぜよ。この世界及び他の世界、この国土及び他の国土より、今悉く忉利天に集い来たれり。汝、その数を知るや。

その時、釈迦牟尼仏は文殊師利菩薩(一切の菩薩の中で最も智慧に優れた方、「法王子」と称される)に言われました。「よく見るがよい。あらゆる世界、あらゆる国土から集い来たった、これら全ての諸仏、菩薩、天、龍、鬼、神を——その数がどれほどか分かるか。」

文殊師利、仏に白して言さく。世尊よ、我が神力を以てしても、千劫にわたりて測度するとも、知ること能わじ。

文殊師利菩薩は仏に答えました。「世尊よ、たとえ私の全ての神通力を用い、千劫にわたって数え続けたとしても、なお数え尽くすことはできません。」

仏、文殊師利に告げたまう。吾が仏眼を以て観ずるも、なお尽くすこと能わず。これは皆、地蔵菩薩が久遠の劫より以来、已に度し、現に度し、当に度すべき者なり。已に成就し、現に成就し、当に成就すべき者なり。

仏は文殊師利菩薩に告げました。「たとえ我が仏眼をもって観たとしても、なお数え尽くすことはできぬ。これらは皆、地蔵菩薩(一切の苦しむ衆生を済度せんと大願を発した菩薩)が遠い過去から今に至るまで已に済度した者、現在済度しつつある者、これから済度すべき者——已に解脱を成就した者、現に成就しつつある者、これから成就すべき者なのである。」

文殊師利、仏に白して言さく。世尊よ、我は往昔より以来、久しく善根を修し、証して無礙の智を得たり。仏の所説を聞いて、即ち信受す。小果の声聞、天、龍の八部、及び未来世の衆生は、如来の誠実の語を聞くも、必ず狐疑を懐かん。たとい恭敬して受くとも、なお謗毀を免れじ。唯だ願わくは世尊、地蔵菩薩摩訶薩、因地に在りし時、如何なる行願を作して、この不思議の事を成就せるかを、具さに説きたまえ。

文殊師利菩薩は仏に申し上げました。「世尊よ、私は遠い過去から長きにわたり善根を修め、すでに無礙の智慧を証得しておりますので、仏の仰せを聞けば直ちに信じ受けます。しかし、修行がまだ浅い声聞の弟子たち(自らの解脱のみを求める修行者)、天や龍を含む八部の護法衆、そして未来世の一切の衆生は——たとえ仏が真実を説かれるのを聞いても、必ず疑いを抱くでしょう。たとえ恭しく教えを受けても、おそらく誹謗を免れないでしょう。どうか世尊、皆に詳しくお説きください。地蔵菩薩は過去の修行時代に何を行い、どのような誓願を立て、いかにしてこの不可思議なる事業を成就されたのでしょうか。」

仏、文殊師利に告げたまう。譬えば三千大千世界の一切の草木、叢林、稲麻、竹葦、山石、微塵、一物を一数と為し、一数を一河と作す。一河の中の沙、一沙を一界と為す。一界の中の塵、一塵を一劫と為す。一劫の中に積もる所の塵数を、尽く劫と為す。地蔵菩薩が十地の果位を証してより以来、千倍に多きこと是の喩えの如し。況や地蔵菩薩が声聞と辟支仏の地に在りし時をや。

仏は文殊師利菩薩に告げました。「一つの喩えを用いよう。この全宇宙にあるもの——一切の草木、森林、稲、麻、竹、葦、山の石、微塵——その一つ一つを一つの数とし、その一つ一つの数を一本のガンジス河とする。次に、そのガンジス河一本一本の砂の一粒一粒をそれぞれ一つの世界とする。次に、その世界一つ一つの微塵の一粒一粒をそれぞれ一つの劫とする。そして、その劫一つ一つの中に積もった塵の全てを、再び劫に転じる。地蔵菩薩が十地の果位(菩薩の修行における最高位の一つ)を証してからの時間は、この喩えの千倍にも及ぶのだ。ましてや地蔵菩薩が声聞や辟支仏(もう一つの修行の段階)であった時代は言うまでもない。」

文殊師利よ、この菩薩の威神力と誓願は、誠に不可思議なり。もし未来世において、善男子・善女人ありて、この菩薩の名を聞いて讃歎し、瞻礼し、名を称え、供養し、あるいは彩画・刻鋳・塑漆にてその形像を造る者あらば、百生にわたり忉利天に生まれ、永く悪趣に堕つることなからん。

「文殊師利よ、この菩薩の威神力と誓願は、誠に不可思議である。もし未来世において、善き男子や善き女人がいて、この菩薩の名を聞いて讃歎し、恭しく礼拝し、名を称え、供養し、あるいは彩画・刻鋳・塑像にてその姿を造る者あらば——その人は百生にわたり忉利天(三十三天とも呼ばれる、大いなる安楽の境地)に生まれ、永く悪趣(苦しみの処)に堕つることがないであろう。」

文殊師利よ、この地蔵菩薩摩訶薩は、遥かなる過去、不可説なる劫の前に、一人の大長者の子であった。その時、師子奮迅具足万行如来という仏がおられた。長者の子は仏の千福荘厳なる相好を見て、その仏に問うた。「如何なる修行と誓願を為して、かくの如き相を得たまうや。」師子奮迅具足万行如来は長者の子に告げた。「この身を得んと欲せば、長遠の劫にわたりて、一切の苦悩する衆生を解脱せしめねばならぬ。」

「文殊師利よ、この地蔵菩薩は、極めて遥かなる過去——言葉では言い表せぬほどの昔——大いなる長者の子であった。その時代、『師子奮迅具足万行如来』という仏がおられた。この裕福な家の若者は、仏の千福に荘厳され、光輝く姿が殊に麗しいのを見て、その仏に問うた。『如何なる修行を為し、如何なる誓願を立てて、かくも麗しき相を得られたのですか。』師子奮迅具足万行如来は答えた。『我が如き身を得んと欲するなら、計り知れぬ長き時をかけて、苦しむ一切の衆生を解脱せしめねばならぬ。』」

文殊師利よ、その時、長者の子はこの誓願を立てた。「今より未来際に至るまで、不可計の劫にわたりて、六道に在る一切の罪苦の衆生の為に、あらゆる方便を尽くして、悉く解脱せしめん。その一切が解脱し終えて後、我は初めて成仏せん。」この大願をかの仏の前に立てしが故に、今に至るも百千万億那由他の不可説の劫を経て、なお菩薩の位に留まるなり。

「文殊師利よ、これを聞いた若者はこの大いなる誓願を立てた。『今この時より、未来の尽きぬ不可計の劫にわたりて、六道(天道・人道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道)に苦しむ一切の衆生の為に、あらゆる方便を尽くし、一人一人を助けて、悉く解脱を得せしめん。全ての衆生が解脱し終えて後、我は初めて仏と成らん。』この大いなる誓願をかの仏の前に立てたが故に、今に至るまで百千万億那由他(天文学的に巨大な数)もの不可説の劫を経てもなお、彼は菩薩のままであり、未だ成仏していないのである。」

また過去に、不可思議なる阿僧祇劫の昔、覚華定自在王如来という仏がおられた。その仏の寿命は四百千万億阿僧祇劫なり。像法の時代に、一人の婆羅門女あり。宿福深厚にして、衆人は皆敬仰す。行住坐臥するに、天人常に護衛せり。しかるにその母は邪見を持ち、常に三宝を軽しめ謗りたり。

「さらにもう一つ、遥かなる昔の物語がある。不可思議なる阿僧祇劫(阿僧祇とは『無量』の意、計算できぬほど膨大な数)の前に、『覚華定自在王如来』という仏がおられた。その仏の寿命は四百千万億阿僧祇劫であった。その仏の入滅後の像法の時代(仏法はまだ存在するが次第に衰退していく時期)に、婆羅門の家(古代インドの僧侶階級)の若い女性がいた。この女性は過去世からの深く厚い功徳を積んでおり、人々は皆大いに敬っていた。歩く時も、立つ時も、座る時も、横になる時も、常に天の存在に守護されていた。しかし、その母は邪な教えを信じ、常に三宝——仏・法・僧を軽んじていた。」

その時、聖女は種々の方便を用いて母を導き勧め、正見を生ぜしめんとした。然れどもその母は信を生ずることなく、やがてこの世を去り、神識は無間地獄に堕ちたり。婆羅門女はその母が生前、因果を信ぜざりしことを知り、その業に随いて必ず悪趣に生ずるものと思い、家宅を売り、香華及び諸々の供養の具を広く求め、先仏の塔寺にて大いなる供養を為す。その寺にて覚華定自在王如来の形像を見たり。塑画の威容は端厳にして、ことごとく具わりたり。

その時、この聖女(婆羅門女を指す)はあらゆる手段を用いて母を導き勧め、正しき信仰を持ってほしいと願った。しかし母はついに信じるに至らなかった。間もなく母はこの世を去り、その神識は無間地獄(最も恐ろしき地獄、一瞬たりとも苦しみが止むことのない処)に堕ちた。婆羅門女は母が生前に因果を信じなかったことを知っていたので、その造った業に従えば必ず悪趣(苦しみの処)に生まれるに違いないと思い、家を売り払い、至る所で香華や供養の品を求め、先仏が遺された塔や寺院にて盛大な供養を行った。ある寺院にて、覚華定自在王如来の形像を見た——塑像・彩画ともに威厳に満ち、荘厳にして完全な姿であった。

婆羅門女は仏の尊容を瞻礼し、倍らに恭敬の念を増した。心中に独り思った。仏は大覚と号し、一切智を具足す。もし仏世に在しまさば、我が母の死後、仏に問えば、必ず去処を知りたまうべし。婆羅門女は長く泣き、如来を恋慕して瞻仰す。忽然として空中に声あり。「泣く聖女よ、悲しみを深めること勿れ。我今、汝の母の去処を示さん。」婆羅門女は合掌して空に向かいて言った。「いかなる神徳の大いなるものぞ、我が憂いを安んじたまう。我、母を失いてより以来、昼夜に念い、問うべき処なくして、いずれの趣に生まれしかを知る由もなし。」空中の声、また答えて言った。「我は汝の瞻礼する所の、過去の覚華定自在王如来なり。汝が母を念ずることの、凡情に過ぎたるを見て、故に来たりて告ぐるなり。」

婆羅門女は恭しく仏像を瞻礼し、その信心はさらに深まった。心の中でこう思った。「仏は大覚と号し、円満なる智慧を具えておられる。もし仏がまだこの世におられたなら、母の死後に伺えば、必ず母の行き先を教えてくださるのに。」仏像を見上げながら、婆羅門女は長い間泣き続けた。すると突然、空中から声が聞こえた。「泣いている聖女よ、そのように悲しむでない。今、汝の母の行き先を示そう。」婆羅門女は合掌して空に向かい言った。「いかなる大いなる神力をお持ちの方が、私の悲しみを慰めてくださるのですか。母を亡くしてより、昼も夜も母のことを思い続けておりますが、母がどの世界に生まれたのか知る術がございません。」すると空中の声が再び答えた。「我は汝が瞻礼している、過去の覚華定自在王如来である。汝が母を思う心が凡夫を遥かに超えているのを見て、特に来たりて告げるのだ。」

婆羅門女はこの声を聞いて、身を地に投げ、肢節皆損なわれたり。左右の者が扶持して、良久しくして始めて蘇りたり。空に向かいて言った。「願わくは仏慈悲もて、速やかに我が母の去処を示したまえ。我が身心、将に死せんとす。」覚華定自在王如来、聖女に告げたまう。「汝、供養を了えて、速やかに家に帰り、端坐して我が名号を念ぜよ。即ち汝が母の去処を知るべし。」

婆羅門女はこの声を聞いた時、あまりの感動に身を地に投げ、関節がことごとく傷ついた。周りの人々が急いで支え起こし、長い間経ってようやく意識を取り戻した。空に向かって言った。「どうか仏の慈悲をもって、速やかに母の行き先を教えてください。私の心身はもはや耐えられません——今にも死んでしまいそうです。」覚華定自在王如来は聖女に言われた。「供養を終えたら、すぐに家に帰り、端坐して心を静め、我が名号を念じなさい。そうすれば、汝の母の行き先を知ることができるであろう。」

婆羅門女は仏に礼拝し終えて家に帰った。母を常に思うが故に、端坐して覚華定自在王如来の名号を念じた。一日一夜を経て、忽然として身は大海の辺に至る。その水は沸騰し、多くの獰猛なる獣ありて、身は悉く鉄にて成り、海面を飛行し奔走し、東西に馳逐す。男女百千万の人が海中に浮き沈みし、獣に追われ食われるのを見たり。また夜叉を見たり。形いろいろにして、あるいは手多く、目多く、足多く、頭多く、牙が刀剣の如く鋭く口外に突出す。罪人を駆りて獣に近づけ、また自ら手に捕えて頭と足をねじ合わせる。その形万般にして、敢えて久しく視ること能わず。

仏像への礼拝を終えた後、婆羅門女は家に帰った。母のことが常に心から離れぬが故に、端坐して一心に覚華定自在王如来の名号を念じた。一日一夜を経て、突然、大きな海の辺に身を見出した。水は煮え滾り、多くの恐ろしき獣がいて、全身が鉄で出来ており、海面を飛び走り、あらゆる方向に追い回していた。百千もの男女が水中に浮き沈みし、恐ろしき獣に捕えられ食われるのが見えた。また夜叉(一種の凶暴な鬼神)もいた。奇怪な姿のものばかりで、手が多いもの、目が多いもの、足が多いもの、頭が多いものもあり、歯は剃刀のように鋭く突き出ていた。苦しむ罪人たちを獣の方へ追い立て、また自ら捕えて頭と足をねじり合わせた。その光景は千もの悪夢のようで、とても見続けられるものではなかった。

この時、婆羅門女は念仏の力の故に、自然と恐怖を感ぜず。一人の鬼王あり、名を無毒という。来たりて迎え、頭を下げて聖女に言った。「善いかな、菩薩よ。何の因縁ありてこの処に来たりしや。」

しかし婆羅門女は仏の名号を絶えず念じていたので、仏の力に守られ、自然と少しも恐れを感じなかった。その時、一人の鬼王が現れた。名を無毒という。深く敬意をもって出迎え、言った。「なんと素晴らしいことか、菩薩よ。何の因縁あってこの処に来られたのですか。」

婆羅門女は鬼王に問うた。「ここは何処ぞ。」

婆羅門女は鬼王に尋ねた。「ここは一体どこですか。」

無毒答えて言った。「ここは大鉄囲山の西面の、第一の海なり。」

無毒は答えた。「ここは大鉄囲山(世界の最も外側を取り囲む巨大な鉄の山脈)の西方にある、第一の海です。」

聖女問うた。「鉄囲山の内に地獄ありと聞けり。まことなりや。」

聖女は尋ねた。「鉄囲山の中に地獄があると聞いたのですが、本当ですか。」

無毒答えて言った。「実に地獄あり。」

無毒は答えた。「はい、本当です。確かに地獄はございます。」

聖女問うた。「今、如何にして地獄の処に至るべきや。」

聖女は尋ねた。「では、どうすれば地獄のある場所に行けるのですか。」

無毒答えて言った。「威神力にあらざれば、業力を以てす。この二の力にあらざれば、終に到ること能わず。」

無毒は答えた。「大いなる神通力がなければ、業力によるしかありません。この二つの力のいずれかがなければ、決してそこに至ることはできません。」

聖女また問うた。「何の因縁ありてか、この水は沸き騰がり、多くの罪人と獰猛なる獣あるや。」

聖女はさらに尋ねた。「なぜここの水はこのように煮え滾り、これほど多くの苦しむ罪人と恐ろしき獣がいるのですか。」

無毒答えて言った。「これは閻浮提(我らの人間世界)にて悪行を為し、新たに死んだ者たちである。死後四十九日の間に、後嗣が功徳を修し、善事を為して苦より救い出す者なく、また生前に善因を作さなかった場合、その造りし業に随いて地獄に送られる。地獄に至る前に、自ずとまずこの海を渡らねばならぬ。この海の東方一万由旬(古代の距離の単位、極めて遠大な距離)の処にまた一つの海あり、その苦しみは倍なり。さらに東に行けばまた一つの海あり、その苦しみはさらに倍なり。三つの海は皆、身・口・意の三業の悪因によりて招かれたもの。総じて『業の海』と名づく。まさにここがその処である。」

無毒は答えた。「これらは閻浮提(我らの人間世界)にて悪行を為し、新たに命を終えた者たちです。死後四十九日の間に、子孫が功徳を修し、善事を為して救い出してくれる者がなく、また生前に何の善行もしなかった場合、その造りし悪業に随って地獄に送られます。地獄に至る前に、自ずとまずこの海を渡らねばなりません。この海の東方一万由旬(古代の距離の単位、極めて遠大な距離を示す)の処にまた一つの海があり、そこの苦しみは二倍です。さらに東へ行けばまた一つの海があり、苦しみはさらに倍増します。三つの海は全て身・口・意の三業の悪因によって招かれたものです。これらを総称して『業の海』と言い、ここがまさにその場所なのです。」

聖女、また鬼王無毒に問うた。「地獄はいずこにあるや。」

聖女は再び鬼王無毒に尋ねた。「では、地獄はどこにあるのですか。」

無毒答えて言った。「三つの海の中に大地獄あり。その数百千にして、各々異なる。その中の最も大いなるものは十八なり。次に五百あり、それぞれ無量の苦を含む。次にまた千余あり、また無量の苦を含む。」

無毒は答えた。「三つの業の海の中に大地獄があります。その数は百千にも上り、それぞれが異なっております。最も大いなるものは十八あります。その下に五百の地獄があり、それぞれ計り知れない苦しみと責め苦に満ちています。さらにその下に千余の地獄があり、これもまた無量の苦しみを含んでおります。」

聖女また大鬼王に問うた。「我が母は没してより久しからず。その神識、いずれの趣に生まれしかを知らず。」

聖女は大鬼王に尋ねた。「私の母は亡くなってまだ間もありません。母の魂がどの世界に行ったのか、分からないのです。」

鬼王、聖女に問うた。「菩薩の母は、生前にいかなる行業を為しや。」

鬼王は聖女に尋ねた。「菩薩のお母上は、生前にどのようなことをなさっていたのですか。」

聖女答えて言った。「我が母は邪見を持ち、三宝を譏り謗りたり。たとえ暫く信ずるも、また不敬に還る。没してより日浅きも、いずれの趣に生まれしかを知らず。」

聖女は答えた。「私の母は邪見を持ち、三宝——仏・法・僧を常に嘲り謗っておりました。たとえ一時信じることがあっても、すぐにまた不敬に戻ってしまいました。亡くなってからまだ日は浅いのですが、どの世界に生まれたのか分かりません。」

無毒問うた。「菩薩の母の姓は何と申すや。」

無毒は尋ねた。「菩薩のお母上のお名前は何と仰いますか。」

聖女答えて言った。「我が父母は共に婆羅門の種姓なり。父の名は尸羅善現、母の名は悦帝利と申す。」

聖女は答えた。「私の父も母も婆羅門の種姓(古代インドの最高の社会階級)でございます。父の名は尸羅善現、母の名は悦帝利と申します。」

無毒は合掌して菩薩に恭しく言った。「聖者よ、どうか早くお帰りになり、もう悲しまれませぬよう。罪女の悦帝利は既に天に生まれ変わりて、三日が経ちました。それは孝順なる子が、母の為に功徳を修し、覚華定自在王如来の塔寺に供養し布施したが故であると聞いております。菩薩の母のみならず、その日、無間地獄にありし罪人もことごとく苦より脱して、天に生まれ変わりました。」

無毒は合掌して恭しく菩薩に言った。「聖者よ、どうかお帰りになって、もう悲しまないでください。お母上の悦帝利は既に地獄を離れて天に生まれ変わっております。もう三日になります。それは極めて孝行な子が、母の為に功徳を修し、供養を行い、覚華定自在王如来の塔寺に布施をしたからだと聞いております。菩薩のお母上だけでなく、まさにその日、無間地獄で苦しんでいた全ての罪人もまた、苦しみから解放され、安楽を得て、共に天に生まれ変わったのです。」

鬼王の言葉を聞き終わりて、合掌して退きぬ。婆羅門女は夢から覚めたるが如く帰り来たり、全てを了解して、覚華定自在王如来の塔像の前に立ち、大いなる誓願を立てた。「我は未来の劫にわたりて、一切の罪苦の衆生の為に、あらゆる方便を尽くして、悉く解脱せしめん。」

鬼王は語り終えると、合掌して退いた。婆羅門女は夢から覚めるように帰って来た。全てを理解した彼女は、覚華定自在王如来の塔像の前に立ち、大いなる誓願を立てた。「我は未来のあらゆる劫にわたりて、罪に苦しむ衆生あらばどこであろうとも、あらゆる方便を尽くして、全てを解脱せしめん。」

仏、文殊師利に告げたまう。「その時の鬼王無毒は、即ち今日の財首菩薩なり。婆羅門女は、即ち今日の地蔵菩薩なり。」

仏は文殊師利菩薩に告げた。「その時の鬼王無毒は、他ならぬ今日の財首菩薩である。そして、あの婆羅門女こそ、他ならぬ今日の地蔵菩薩なのだ。」

第二品 分身集会品

地蔵菩薩の無量の分身と百千万億の化身が、六道より忉利天宮に集い、仏に頂を摩されて付嘱を受ける場面。

その時、百千万億にして不可思・不可議・不可量・不可説、無量阿僧祇の世界にある一切の地獄の処より、地蔵菩薩の分身が悉く忉利天宮に集い来たれり。如来の神力を以て、四方より到りたり。彼と共に来たりし者は、業道より解脱し済度されし衆生にして、千万億那由他に数え、皆香華を持ちて仏に供養す。

この時、百千万億にして不可思議・不可計量・不可称数・無量阿僧祇の世界にある地獄の処より、地蔵菩薩の分身(地蔵菩薩は無数の姿に分かれて、あらゆる地獄に赴き衆生を救済していた)が、悉く忉利天宮に集い来たった。仏の神通力により、あらゆる方角から到着した。それに伴い来たったのは、悪業の道から救い出され解脱した衆生であった——各分身が千万億那由他の衆生を連れて来た。皆ともに香華を持参し、仏に供養した。

集い来たりし者は皆、地蔵菩薩の教化により、阿耨多羅三藐三菩提に向かいて不退転の位に至れり。これらの衆生は、久遠の劫にわたり生死に流転し、六道にて片時の安息もなく苦しんでいた。地蔵菩薩の広大なる慈悲と深き誓願により、一人一人が証果を得た。忉利天に到りて、皆歓喜し、如来を瞻仰し、目を暫くとも離すことを欲せず。

集い来たった全ての衆生は、地蔵菩薩の教えと導きにより、阿耨多羅三藐三菩提(無上正等正覚——仏の悟り)に向かいて不退転の位に至ることができた。これらの衆生は、数え切れぬほどの遠い劫にわたり、生死の輪廻に流転し、六道にて一瞬の安らぎもなく苦しんでいた。地蔵菩薩の広大なる慈悲と深い誓願のおかげで、一人一人が修行の果を証得した。今、忉利天に到着し、心は歓喜に満ち溢れ、仏を見上げて、一瞬たりとも目を離すことを望まなかった。

その時、世尊は金色の臂を伸べて、百千万億にして不可思・不可議・不可量・不可説、無量阿僧祇の世界にある地蔵菩薩摩訶薩の分身の頂を摩でて、かくの如く言いたまう。「我はこの五濁悪世にて、かくの如き剛強にして難化の衆生を教化し、その心を調伏して、邪を捨てて正に帰せしむ。然れども十に一二はなお悪習を遺す。我もまた千百億の身に分かれ、広く方便を設けたり。利根にして聞いて即ち信受する者あり。善果ありて勧めて成就に至る者あり。愚鈍にして久しく化して方に帰する者あり。業重くして敬心を生ぜざる者あり。かくの如き種々の衆生、各各異なるが故に、各各異なる身に分かれて度脱す。」

この時、仏は金色の臂を伸ばし、無数の不可思議にして計り知れぬ世界にある地蔵菩薩の全ての分身の頂を優しく摩でて、こう言われた。「この五濁悪世にて、我はこれら頑固で意固地な衆生を教え導き、その心を調え、邪道から正道へと帰らせようとしてきた。しかし十のうち一つか二つが成功するのみで、残りはなお悪習から離れられない。我もまた千百億の身に分かれ、あらゆる方法を試みた。利根にして聞くや即座に信じ受ける者もいる。善き功徳があり、熱心に励まされて成就に至る者もいる。愚鈍にして、長く忍耐強く導いてようやく改心する者もいる。業が重く、どれほど教えても敬う心を生じ得ぬ者もいる。このように様々な衆生がそれぞれ異なるが故に、我もまた異なる姿に分かれて、一人一人を導き解脱せしめるのである。」

あるいは男の身、あるいは女の身、あるいは天龍の身、あるいは神鬼の身を現じ、あるいは山林、川原、河池、泉井となりて、衆生を利済し、悉く解脱せしむ。あるいは天帝の身、あるいは梵王の身、あるいは転輪王の身、あるいは居士の身、あるいは国王の身、あるいは宰輔の身、あるいは官属の身、あるいは比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷の身を現じ、乃至声聞・羅漢・辟支仏・菩薩の身を現じて以て化度す。但だ仏身のみを以て現ずるにあらず。

「あるいは男の姿、あるいは女の姿、あるいは天や龍の姿、あるいは神や鬼の姿を現じ、さらには山林、河川、平原、渓流、池、泉、井戸にさえ姿を変え——全ての人を利し、皆が解脱を得られるようにする。あるいは天帝(天の皇帝)の姿、あるいは梵王(色界天の王)の姿、あるいは転輪王(全世界を統べる偉大なる王)の姿、あるいは居士(在家にて法を修する者)の姿、あるいは国王の姿、あるいは宰相の姿、あるいは官吏の姿、あるいは比丘(出家修行僧)、比丘尼(出家修行尼)、優婆塞(男性の在家修行者)、優婆夷(女性の在家修行者)の姿を現じ、さらには声聞、阿羅漢、辟支仏、菩薩の姿をも現じて、衆生を教化し済度する。仏の姿のみを以て現ずるのではないのだ。」

見よ、我は累劫にわたり勤苦して、かくの如き難化の剛強なる罪苦の衆生を度脱してきた。未だ調伏せざる者はその業報に随いて受くるなり。もし悪趣に堕して大苦を受けんとせば、汝は我がこの忉利天宮にて殷勤なる付嘱を念ぜよ。この娑婆世界、乃至弥勒仏の出世するまで、一切の衆生をして悉く解脱せしめ、永く諸苦を離れて、仏に遇いて授記を得せしめよ。

「見よ、我がこれほど多くの劫にわたる勤労と辛苦をもって、これら教え難き頑固にして罪に苦しむ衆生を教化し解脱せしめてきたことを。未だ調伏されざる者は、自らの業報に随って報いを受けるであろう。もし悪趣に堕して大いなる苦を受けることあらば、汝は我が今日この忉利天宮にて懇ろに付嘱する言葉を忘れるでない。この娑婆世界の衆生を、今より弥勒仏(次に世に現れる仏)が出世するまでの間、悉く解脱せしめ、永く一切の苦を離れ、仏に遇いて授記(未来に成仏する保証)を得せしめよ。」

その時、諸世界の地蔵菩薩の分身は合して一つの形となった。涙を流し、悲しみと恋慕の情に満ちて、仏に白して言った。「久遠の劫より以来、仏の導きを蒙りて、不可思議なる神通力と大智慧を得ることができました。我が分身は百千万億恒河沙の世界に遍く、一つ一つの世界に百千万億の身を現じ、一つ一つの身をもって百千万億の衆生を度脱し、三宝に帰依し敬仰せしめ、永く生死を離れ、涅槃の楽を得せしめてまいりました。たとえ仏法の中における善事が、一毫一渧、一沙一塵の如く微小なるものであっても、我は漸く度脱し、大利益を得せしめましょう。唯だ願わくは世尊、未来世の悪業の衆生のことを憂い煩いたまうこと勿れ。」

この時、諸世界の地蔵菩薩の分身は全て合して一つの形となった。涙を流し、深き信慕の情に満ちて、地蔵菩薩は仏に白して言った。「久遠の劫より以来、仏の導きと助けを蒙り、この不可思議なる神通力と大智慧を得ることができました。我が分身は百千万億恒河沙の世界に遍満しております。一つ一つの世界にて百千万億の身に化現し、一つ一つの身をもって百千万億の衆生を導き、三宝に帰依し敬仰せしめ、永く生死の輪廻を離れ、涅槃の安楽を得せしめてまいりました。たとえ仏法の中における善行が、一毫一渧、一沙一塵の如くに微小なるものであっても、我は漸く度脱し、大いなる利益を得せしめましょう。どうか世尊、未来世の悪業の衆生のことを憂い煩いたまうことなきようお願い申し上げます。」

かくの如く三たび仏に白す。「唯だ願わくは世尊、未来世の悪業の衆生のことを憂い煩いたまうこと勿れ。」

地蔵菩薩はこの言葉を三度繰り返して仏に申し上げた。「どうか世尊、未来世の悪業の衆生のことを憂い煩いたまうことなきよう。」

その時、仏は地蔵菩薩を讃えて言いたまう。「善きかな、善きかな。汝の成就を喜ぶ。久遠の劫より以来立てし大願を成就し、広大なる度脱の事業が完了した暁には、即ち菩提を証するであろう。」

この時、仏は地蔵菩薩を讃えて言われた。「善きかな、善きかな。汝の為に喜ぶ。汝は久遠の劫にわたりて立てし大願を成就することができる。一切衆生を解脱せしめる広大なる事業が完成した暁には、菩提(無上の悟り)を証し、仏道を成就するであろう。」

第三品 観衆生業縁品

地蔵菩薩が摩耶夫人に衆生の業報と地獄の苦しみを詳しく説く場面。

その時、仏の母、摩耶夫人は恭しく合掌して地蔵菩薩に問うた。「聖者よ、閻浮提の衆生は種々の業を造る。その果報はいかなるものぞ。」地蔵菩薩答えて言った。「千万の世界と国土に、地獄ある処もあれば無き処もあり、女人ある処もあれば無き処もあり、仏法ある処もあれば無き処もある。声聞・辟支仏も同じく、ある処もあれば無き処もある。ただ地獄の報いのみが異なるにあらず、実に一切が異なるなり。」

この時、仏の母、摩耶夫人は恭しく合掌して地蔵菩薩に尋ねた。「聖者よ、人間世界の衆生はあらゆる種類の異なる業を造りますが、その受ける果報はどのようなものでしょうか。」地蔵菩薩は答えた。「千千万万の世界と国土に、地獄がある処もあれば無い処もあり、女人がいる処もあればいない処もあり、仏法がある処もあれば無い処もあります。声聞や辟支仏も同様で、いる処もあればいない処もあります。地獄の報いだけが異なるのではなく、実に一切が異なっているのです。」

摩耶夫人、また菩薩に言った。「閻浮提の罪業の因縁によりて招かれし悪趣について、聞かんことを願う。」

摩耶夫人はまた菩薩に言った。「それではまず、我らの閻浮提の罪業によって招かれる悪道について、お話しください。」

地蔵菩薩答えて言った。「聖母よ、唯だ願わくはお聞きください。略して説きましょう。」

地蔵菩薩は答えた。「聖母よ、どうかお聞きください。略してお話しいたしましょう。」

仏の母言った。「聖者よ、どうかお説きください。」

仏の母は言った。「聖者よ、どうぞお話しください。」

地蔵菩薩、聖母に告げて言った。「南閻浮提の衆生の罪報の名号は次の如し。もし衆生ありて父母に不孝にして、乃至は殺害に及ぶ者は、無間地獄に堕して千万億劫の間、求めて出づること能わず。もし衆生ありて仏身の血を出し、三宝を謗毀し、経典を恭敬せざる者は、また無間地獄に堕して千万億劫の間、求めて出づること能わず。もし衆生ありて常住の物を侵損し、僧尼を汚辱し、伽藍の内にて淫行を為し、殺害を行う者は、無間地獄に堕して千万億劫の間、求めて出づること能わず。もし衆生ありて出家の相を偽りながら沙門の心なく、常住の物を浪費し、在家を欺き、戒律を犯して諸悪を造る者は、無間地獄に堕して千万億劫の間、求めて出づること能わず。もし衆生ありて常住の財物、穀米、飲食、衣服を盗み、乃至一物をも許しなく取る者は、無間地獄に堕して千万億劫の間、求めて出づること能わず。」

地蔵菩薩は聖母に言った。「南閻浮提(我らの世界)における罪業の報いは次の通りです。もし父母に不孝にして、殺害に及ぶ者あらば、無間地獄に堕して千万億劫の間、出ることはできません。もし仏の身を傷つけて血を出し、三宝——仏・法・僧を謗り毀り、経典に不敬なる者あらば、同じく無間地獄に堕して千万億劫の間、出ることはできません。もし寺院の財産(僧伽の共有財産)を侵し損ない、僧尼を辱め、寺院の中で淫らな行いを為し、殺生する者あらば、無間地獄に堕して千万億劫の間、出ることはできません。もし出家の姿を装いながら真の出家の心なく、寺院の資財を無駄にし、在家の人々(一般の人々)を欺き、戒律を犯してあらゆる悪を為す者あらば、無間地獄に堕して千万億劫の間、出ることはできません。もし寺院の財物、穀物、食物、衣服を盗み——たとえ一品であっても無断で取る者あらば、無間地獄に堕して千万億劫の間、出ることはできません。」

地蔵菩薩言った。「聖母よ、もし衆生ありてかくの如き罪を犯さば、五つの無間地獄に堕して、一刻たりとも苦しみの止むことを求めること能わず。」

地蔵菩薩は続けた。「聖母よ、もし衆生がこれらの罪を犯したならば、五つの無間地獄に堕します。その地獄では一瞬たりとも苦しみから解放されることを望むことはできません。」

摩耶夫人、また地蔵菩薩に問うた。「無間地獄とは何の謂いぞ。」

摩耶夫人は再び地蔵菩薩に尋ねた。「なぜ『無間地獄』と呼ぶのですか。『無間』とはどういう意味ですか。」

地蔵菩薩言った。「聖母よ、一切の地獄は大鉄囲山の中にあり。大地獄は十八なり。次に五百あり、各々名を異にす。次にまた千余あり、また各々名を異にす。無間地獄は、その獄城の周囲は八万余里にして、城は純ら鉄にて成り、高さ一万里にして、城上に猛火ありて少しの隙間もなし。獄城の中に諸々の地獄あり、相い連なりて、名号各々異なる。一つの地獄あり、独り無間と名づく。その周囲は一万八千里にして、獄壁の高さは千里にして、悉く鉄にて囲まれたり。上の火は下に至り、下の火は上に至る。鉄蛇・鉄狗は火を吐きて獄壁の上を東西に馳せ走る。」

地蔵菩薩は答えた。「聖母よ、一切の地獄は大鉄囲山の中にあります。大地獄は十八あります。その下に五百あり、それぞれ名前が異なります。さらにその下に千余あり、やはりそれぞれ名前が異なります。無間地獄について申しますと、その獄城の壁の周囲は八万余里に及びます。城全体が鉄で出来ており、高さ一万里、城壁の上には炎が覆い、隙間はほとんどありません。獄城の中では、諸々の地獄が互いに繋がっており、名前はそれぞれ異なります。その中に一つ、『無間』と名づけられた地獄があります。周囲は一万八千里、獄壁の高さは千里、全て鉄で囲まれています。上の炎は下まで達し、下の炎は上まで達します。鉄の蛇と鉄の犬が口から火を吐きながら、獄壁の上をあらゆる方向に駆け巡っているのです。」

獄の中に床あり、縦横に万里を遍くす。一人、罪を受くるに、自ら身を以て床を遍く満つるを見る。千万人同じく罪を受くるも、各各また自ら身を以て遍く満つるを見る。衆業の感ずる所、かくの如くなり。

「地獄の中には床があり、一万里にわたって広がっています。ただ一人が罰を受ける時、その人は自分の身体が床全体に広がっているのを見ます。たとえ千万の人が同時に罰を受けていても、各人がなお自分の身体が床全体を満たしているのを見ます。これこそ衆生の悪業がもたらす報いなのです。」

また罪人は諸々の苦しみを受く。百千の夜叉と悪鬼あり、牙は剣の如く、目は電の如く、手に銅の爪を設けて罪人を掴み引く。また夜叉ありて大鉄戟を執りて罪人の身を刺す——口鼻より、腹背より。空中に擲げ、また受け止めて床の上に置く。鉄の鷲は罪人の目を啄む。鉄の蛇は罪人の首を纏う。百節の関に長き釘を打つ。舌を抜き出して犂もて耕す。腸を抽き出して鋸にて截る。銅の汁を口に灌ぐ。熱鉄を身に纏う。万死千生——業報の故なり。百億劫を経るも、求めて出づること能わず。

「罪人たちはあらゆる種類の苦しみを受けます。百千の夜叉と悪鬼がおり、その歯は剣の如く鋭く、目は稲妻の如く光り、手には銅の爪を備えて罪人を掴み引き回します。また夜叉は大鉄戟(一種の武器)を持って罪人の身体を突き刺します——口や鼻から、腹や背から。空中に投げ上げ、受け止めて、床の上に叩きつけます。鉄の鷲が来て罪人の目を啄みます。鉄の蛇が罪人の首に巻きつき締めます。身体の全ての関節に長い釘が打ち込まれます。舌を引き抜かれて犂で耕されます。腸を引き出されて切り刻まれます。溶けた銅を口に注がれます。灼熱の鉄板を身体に巻かれます。死んでは生き返り、また死んでは生き返る——万死万生——全て悪業の報いです。これが百億劫にわたって続き、終わりも見えず、解放の望みもありません。」

この世界が壊れる時は他の世界に転じて受く。他の世界もまた壊れる時は、また転ず。その世界もまた壊れる時は、輾転して相い続く。この世界が成る時は、還りて帰り来たる。無間地獄の業報はかくの如し。

「この世界が壊れる時は、罪人は他の世界に移されて苦しみ続けます。その世界もまた壊れれば、別の世界に移されます。その世界もまた壊れれば、次から次へと渡り歩きます。元の世界が新たに形成された時は、再び連れ戻されて罰を受け続けます。無間地獄の業報はまさにこの通りなのです。」

また無間と号する所以は、五つの事によりて業感を受くるが故なり。何をか五つと為すや。

「また、『無間』(途切れることなしの意)と呼ばれる所以は、五つの事による業の感報があるからです。その五つとは何でしょうか。」

一つには、日夜受苦すること一劫を経るまで無間なり。一念の止む間もなきが故に、無間と名づく。

「第一に、日夜の苦しみが一劫に至るまで止むことなく、一瞬の間断もありません。故に無間と名づけます。」

二つには、一人にても衆人にても、悉く身を以て地獄を満たすが故に、無間と名づく。

「第二に、ただ一人であっても多くの人であっても、各々が地獄全体を自分一人で満たしているように感じます。故に無間と名づけます。」

三つには、刑罰の器具——叉棒・鉄鷲・鉄蛇・狼犬・碓磨・鋸鑿・剉斫・鑊湯・鉄網・鉄縄・鉄驢・鉄馬・生革にて首を蒙せ、熱鉄をもて身に灌ぎ、飢えては鉄丸を呑み、渇しては鉄汁を飲む——年より劫に至り、那由他の間、苦しみ相い連なりて一念の間断もなし。故に無間と名づく。

「第三に、刑罰の器具——叉棒・鉄の鷲・鉄の蛇・狼・犬・石の碓・石の磨・鋸・鑿・剉斫の刀・大釜の熱湯・鉄の網・鉄の縄・鉄の驢馬・鉄の馬・生革にて頭を蒙せ・灼熱の溶鉄を身に灌がれ・飢えては鉄の丸を呑み・渇しては溶鉄を飲む——一年から一劫に至るまで、数え切れぬ那由他の間、これらの苦しみが次から次へと続き、一瞬たりとも途切れることがありません。故に無間と名づけます。」

四つには、男女を問わず、羌・胡・夷・狄の如き何れの民族であろうと、老少・貴賤を問わず、龍・神・天・鬼であろうと、かくの如き罪を犯したる者は一様に苦を受くるが故に、無間と名づく。

「第四に、男であれ女であれ、いかなる民族であれ、老いも若きも、貴きも賎しきも、龍であれ神であれ天人であれ鬼であれ——かくの如き罪を犯した者は、例外なく全員がここで等しく苦を受けねばなりません。故に無間と名づけます。」

五つには、この地獄に堕して以来、一日一夜に万死万生を経、求めて一念の間にも止むことを得ず。その業が尽くるまで方に生まるることを得るも、また相い継ぎて止むことなし。故に無間と名づく。

「第五に、この地獄に堕してより、入った最初の瞬間から百千劫に至るまで、毎日毎夜、万死万生を繰り返します。ほんの一瞬の休息さえ望むことはできません。全ての業が尽きて初めて、ようやく生まれ変わることができます。これが絶え間なく続くのです——故に無間と名づけるのです。」

地蔵菩薩、聖母に言った。「無間地獄について略して説きました。もし詳しく刑罰の器具の名や種々の苦しみを説かんとすれば、一劫を費やしても説き尽くすこと能わず。」摩耶夫人はこれを聞いて、悲しみと愁いに満たされた。合掌して深く礼拝し、退いた。

地蔵菩薩は聖母に言った。「これは無間地獄について略して説いたまでのことです。もし詳しく刑罰の器具の名や種々の苦しみを説こうとすれば、たとえ一劫を費やしても語り尽くすことはできません。」これを聞いた摩耶夫人の心は悲しみと愁いに満ちた。合掌して深く恭しく礼拝し、退いた。

第四品 閻浮衆生業感品

地蔵菩薩の前世——婆羅門女と光目女として、苦しむ衆生を救うために大いなる誓願を立てる場面。

その時、地蔵菩薩摩訶薩、仏に白して言った。「世尊よ、我は仏如来の威神力を蒙りて、百千万億の世界に身を分けて、一切の業報を受くる衆生を救うことができるのです。もし如来の大慈悲力にあらずんば、かくの如き変化を成すこと能わず。今また仏の付嘱を受けました。阿逸多が成仏するまで、六道の一切衆生を悉く度脱し解脱せしめます。誠に、世尊よ、どうか憂い煩いたまうこと勿れ。」

この時、地蔵菩薩は仏に言った。「世尊よ、仏の威神力を受けたればこそ、百千万億の世界に赴き、無数の姿に分かれて、業報に苦しむ一切の衆生を救うことができるのです。仏の大慈悲力にあらずんば、このような変化を成し遂げることはできません。今また仏の付嘱を受けました——阿逸多(弥勒菩薩、次に仏となる方)が成仏するまでの間、六道の一切衆生を済度し解脱せしめます。はい、世尊よ、どうかご心配なさいませぬよう。」

仏、地蔵菩薩に告げたまう。「未だ解脱を得ざる衆生は、性識不定なり。悪習は業を結び、善習は果を結ぶ。善を為すも悪を為すも、遇う縁に随う。五道に輪廻して暫くの休みもなく、塵劫を経るも、惑い障りの中にあり。譬えば魚の網に在るが如し。長き流れに随いて暫く出ずるも、復た入る。かくの如き衆生を以ての故に、我は憂慮す。然れども汝は往昔よりの誓願を重ねて確認し、累劫にわたりて広く罪人を度すと宣言す。さらば我に何の憂うるところかあらん。」

仏は地蔵菩薩に告げた。「未だ解脱を得ていない一切の衆生は、心と意識が不安定である。悪いことをすれば負の業を積み、善いことをすれば良い結果を生む。善を為すか悪を為すかは、出遇う縁に全く依っている。五道(天道・人道・畜生道・餓鬼道・地獄道)に絶え間なく輪廻し、一瞬の休みもなく、塵の数ほどの劫を経ても、常に迷いと障碍の中にある。譬えれば、魚が網の中を泳ぐようなもの。長い流れに随って暫く網から出ても、またすぐ別の網に入ってしまう。このような衆生が故に、我は常に気にかけていた。しかし汝が過去に立てた誓願を確固として守り、幾重もの劫を超えて広く罪人を度脱すると誓い続けるならば、我にはもう何も心配することはない。」

この語を説きし時、会中の一菩薩摩訶薩あり。名を定自在王という。仏に白して言った。「世尊よ、地蔵菩薩は累劫よりこの方、いかなる願を発して、世尊より今、かくも懇ろなる称讃を受けるのでしょうか。世尊、願わくは略してお説きください。」

仏がこのように説いている時、会中の一人の大菩薩、名を定自在王という者が仏に言った。「世尊よ、これほど多くの劫にわたりて、地蔵菩薩はいかなる誓願を立てたのでしょうか。今、世尊よりかくも懇ろにして深き称讃を受けておりますが。世尊、どうか略してお聞かせください。」

世尊、定自在王菩薩に告げたまう。「諦らかに聴け、諦らかに聴け。善く思念せよ。今、汝の為に委しく説かん。遥かなる過去、不可思議なる阿僧祇那由他不可説の劫の前に、一仏ありて、号を一切智成就如来と為す。応供・正遍知・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊と号す。その仏の寿命は六万劫なり。出家する前は一小国の王なり。隣国の王と友善にして、共に十善を行じて衆生を利益す。しかるに隣国の人民は多く悪を造る。二王は共に議して、種々の方便を設けたり。一王は誓願を立てた。『速やかに成仏して、後にその衆生を度し、一人も残さじ。』他の一王は誓願を立てた。『若し先に一切の罪苦の衆生を度し、安楽ならしめて菩提に至らしめずんば、成仏せんことを願わず。』」

仏は定自在王菩薩に告げた。「諦かに聴きなさい。諦かに聴きなさい。よく思念しなさい。詳しく説きましょう。遥かなる過去、不可思議なる阿僧祇那由他不可説の劫の前に、一人の仏がおられた。号を『一切智成就如来』という。応供・正遍知・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊という多くの尊称を有された。この仏の寿命は六万劫であった。出家する前は一小国の王であった。隣国の王と親友であり、共に十善を行じて人々を利益していた。しかし隣国の人民は多くが悪を造っていた。二人の王は共に議して、あらゆる方便を用いて教え導こうとした。一人の王はこう誓った。『速やかに成仏して、後にその衆生を悉く度し、一人も漏れなく。』もう一人の王はこう誓った。『先に一切の罪に苦しむ衆生を度し、安楽ならしめて菩提に至らしめるまでは、成仏することを願わず。』」

仏、定自在王菩薩に告げたまう。「速やかに成仏せんと誓いし王は、即ち一切智成就如来なり。永く罪苦の衆生を度して、全てを救い終えるまで成仏せじと誓いし王は、即ち地蔵菩薩なり。」

仏は定自在王菩薩に告げた。「速やかに成仏せんと誓った王は、即ち一切智成就如来である。そして、永く罪苦の衆生を度し、全てを救い終えるまで成仏せじと誓った王——それこそが地蔵菩薩に他ならない。」

また不可思議なる阿僧祇劫の前、一仏世に出でたり。号を清浄蓮華目如来と為す。その仏の寿命は四十劫なり。像法の時代に、一人の阿羅漢あり。功徳を以て衆生を度す。教化の中にて、一人の女人に遇う。名を光目と為す。光目は食を設けて阿羅漢に供養す。

「また、不可思議なる阿僧祇劫の前に、一人の仏が世に出でた。号を『清浄蓮華目如来』という。この仏の寿命は四十劫であった。仏の入滅後の像法の時代に、一人の阿羅漢(一切の煩悩を断じた修行者)がいて、その功徳をもって衆生を済度していた。教化の中で、『光目』という名の女人に出会った。光目は食事を整えてこの阿羅漢に供養した。」

阿羅漢、彼女に問うた。「汝、何を願うや。」

阿羅漢は彼女に尋ねた。「何か願い事はあるか。」

光目答えて言った。「母の命終の日に、功徳を修して母を救わんとしました。しかし母がいずれの趣に生まれしかを知らず。」

光目は答えた。「母が亡くなった日に、功徳を修して母を救いたいと思いました。しかし母がどこに生まれ変わったのか、まだ分かりません。」

阿羅漢は慈悲を起こし、三昧に入りて観察した。光目の母は悪趣に堕して大いなる苦しみを受けているのが見えた。阿羅漢は光目に問うた。「汝の母は生前に何を為しや。今、悪趣に在りて大いなる苦悩を受けている。」

阿羅漢は大いに慈悲を感じ、三昧(深い禅定に入り、神通力をもって観察すること)に入った。光目の母が悪趣に堕して大いなる苦しみを受けているのが見えた。阿羅漢は光目に尋ねた。「汝の母は生前に何をしていたのか。今、悪趣に在りて、極めて大きな苦悩を受けている。」

光目答えて言った。「我が母は魚や鼈を食すことを好み、殊に子や卵を好んで、炒るか煮るかして思うままに食していました。その殺した命を数えれば、千万に余ります。尊者よ、慈悲を以て、いかにして救うことができましょうか。」

光目は答えた。「母は魚や鼈を食べることを好んでおりました。殊にその卵や稚魚を好み、炒ったり煮たりして思うままに食べておりました。殺した命を数えれば、千万に余るでしょう。尊者よ、慈悲をもって、何か母を救う方法はありませんでしょうか。」

阿羅漢は慈悲を起こし、方便を設けて光目に勧めた。「汝、志誠に清浄蓮華目如来の名号を念じ、併せてその形像を塑画せよ。生きている者も亡くなった者も、共に報いを受けん。」

阿羅漢は大いに慈悲を感じ、助ける方法を考えた。光目に勧めて言った。「汝は志を誠にして清浄蓮華目如来の名号を念じ、併せてその形像を塑画するがよい。そうすれば、生きている者も亡くなった者も、共に善き報いを受けるであろう。」

光目はこれを聞いて、直ちに愛する所のものを捨てて仏像を描かせ、その前に供養した。恭敬の心を込めて、泣きながら瞻仰し礼拝した。夜半に至り、夢に仏身を見たり。金色にして須弥山の如く、光明を放ちて大いなる輝きあり。仏、光目に告げたまう。「汝の母は間もなく汝の家に生まれん。飢えと寒さを覚えるや否や、即ち言を発するであろう。」

これを聞いた光目は、直ちに最も大切にしていたものを手放し(善行の資金に換え)、仏像を描かせて供養した。恭敬の心に満ちて、泣きながら仏像を瞻仰し礼拝した。夜更けになり、夢の中で仏の姿を見た。金色に輝き、須弥山(世界の中心にある伝説の山)の如く高く壮麗で、限りなき光明を放っていた。仏は光目に告げた。「汝の母は間もなく汝の家に生まれ変わるであろう。その子が飢えと寒さを覚えるや否や、直ちに言葉を発するであろう。」

その後、家の婢が子を産んだ。三日も経たぬうちに、その子が言葉を発した。頭を低れて泣き、光目に言った。「生死の業縁、果報の応報は、自ら受くるものなり。我は汝の母なり。汝と別れてより以来、長く暗冥に在りて、大地獄に堕すこと繰り返したり。汝の功徳の力により、ようやく生まれ変わることを得た。しかし下賤の身に生まれ、寿命また短く、わずか十三歳にして、また悪道に堕せん。汝、いかなる方策ありてか、我を免れしめんや。」

その後、家の婢が子を産んだ。この子は三日も経たぬうちに、突然言葉を発した。頭を低れて泣きながら、光目に言った。「生死の業縁、行いの報い——人は各々自ら受くるものです。私はあなたの母です。あなたと別れてから、長い長い間、暗い世界に在り、何度も何度も大地獄に堕ちました。あなたが積んだ功徳の力のおかげで、ようやく生まれ変わることができました。しかし今、下賤の身に生まれ、寿命もとても短い——わずか十三歳までしか生きられず、その後はまた悪道に堕ちなければなりません。何か私をこの苦しみから逃れさせる方法はありませんか。」

光目はこれを聞いて、間違いなく母であると知った。咽び泣きながら婢の子に言った。「汝が真に我が母ならば、自らいかなる罪を造り、いかなる業を為して悪道に堕ちたか知っているはずだ。」

これを聞いた光目は、間違いなく母であると確信した。悲しみに咽びながら激しく泣き、嬰児に言った。「あなたが本当に私の母ならば、自分がいかなる罪を犯し、いかなる業を為して悪道に堕ちたのか、分かっているはずです。」

婢の子答えて言った。「殺生と毀謗の二つの業の故に、この報いを受くるなり。汝の功徳の救いにあらずんば、この業の重さをもって、まだ免れること能わざるなり。」

嬰児は答えた。「殺生と誹謗・悪口の二つの悪業の故に、この報いを受けているのです。あなたの功徳による救いがなければ、私が造った業の重さからして、今でもまだ解放されてはいなかったでしょう。」

光目問うた。「地獄の罪報はいかなるものぞ。」

光目は尋ねた。「地獄の罰と報いはどのようなものですか。」

婢の子答えて言った。「罪苦の事は、とても語るに忍びず。百千歳を以てしても説き尽くし難し。」

嬰児は答えた。「あの苦しみと罰は恐ろしすぎて、とても語ることができません。たとえ百千年あっても、全てを語り尽くすことはできないでしょう。」

これを聞いた光目は声を上げて泣き、虚空に向かって言った。「願わくは我が母、永く地獄を離れんことを。十三歳の後は、再び重罪を犯さず、悪道に堕ちることなきように。十方の諸仏よ、慈悲を以て我を哀れみ、我が母の為に発するこの広大なる誓願をお聞きください。もし我が母が永く三悪道を離れ、下賤卑しき身を離れ、未来の劫にわたりて女人の身に生まれる苦しみをも離れることができるならば——我は今日より清浄蓮華目如来の像の前にて誓う。来たるべき百千万億劫にわたりて、あらゆる世界において、地獄と三悪道に苦しむ一切の罪苦の衆生を救い、地獄・悪道・畜生・餓鬼の道より済度せん。かくの如き罪報の衆生が悉く成仏し終えて後に、我は初めて正覚を成ぜん。」

これを聞いた光目は声を上げて泣き、虚空に向かって叫んだ。「願わくは我が母、永く地獄を離れんことを。十三歳を全うした後は、二度と重罪を犯さず、悪道に堕ちることのないように。十方の諸仏よ、慈悲をもって我を哀れみ、我が母の為に発するこの広大なる誓願をお聞きください。もし我が母が永く三悪道(地獄・餓鬼道・畜生道)を離れ、下賤卑しき身を離れ、さらには未来の劫にわたりて女人の身に生まれる苦しみをも離れることができるならば——我は今日より清浄蓮華目如来の像の前にて誓う。来たるべき百千万億劫にわたりて、あらゆる世界において、地獄と三悪道に苦しむ一切の衆生を救い、地獄・悪道・畜生道・餓鬼道より済度せん。かくの如き業報を負う一切の衆生が悉く成仏し終えて後に、我は初めて無上正等正覚を成ぜん。」

この誓願を発するや、清浄蓮華目如来の声がはっきりと聞こえた。「光目よ、汝の大慈悲は誠に素晴らしい。母の為にかくも壮大なる誓願を発することができた。我が観ずるに、汝の母は十三歳を全うしてこの世を去った後、婆羅門の身に生まれ変わり、寿命は百歳であろう。その後、無憂国土に生まれ変わり、寿命は無量劫なり。最後には仏果を成就し、広く人と天を度すこと、恒河沙の数の如くであろう。」

誓願を発し終えると、清浄蓮華目如来の声がはっきりと聞こえた。光目に告げて言った。「光目よ、汝の大慈悲は誠に素晴らしい。母の為にかくも壮大なる誓願を発することができたのだ。我が観ずるに、汝の母は十三歳を全うしてこの世を去った後、婆羅門の身に生まれ変わり、寿命は百歳であろう。その後、『無憂国土』(一切の悲しみから離れた世界)に生まれ変わり、寿命は計り知れぬほどに長い。最後には仏果を成就し、広く人と天を度すこと、恒河沙の数の如くであろう。」

仏、定自在王菩薩に告げたまう。「その時、功徳をもって光目を導き済度していた阿羅漢は、即ち今日の無尽意菩薩なり。光目の母は即ち今日の解脱菩薩なり。光目は即ち今日の地蔵菩薩なり。久遠の劫にわたりて、かくも大いなる慈悲をもって、恒河沙の如き誓願を発して広く衆生を度してきた。未来世において、もし善を修めず悪を造り、因果を信ぜず、邪淫・妄語を為し、両舌・悪口を行い、大乗を謗毀する男女あらば——かくの如き罪を犯した衆生は必ず悪道に堕す。しかし、もし善知識に遇いて、弾指の間に地蔵菩薩に帰依するよう勧められたなら、たちどころに三悪道の報いから免れるであろう。もし志誠に帰依し、恭敬をもって瞻礼・讃歎し、香華・衣服・種々の珍宝、あるいは飲食を供えて菩薩に奉仕するならば、来たるべき百千万億劫にわたりて常に天上に生まれ、殊勝なる妙楽を享受する。天福が尽きて人間に生まれ変わっても、百千劫にわたりて常に国王として尊ばれ、過去世の因果と来歴を悉く憶念することができる。」

仏は定自在王菩薩に告げた。「その時、功徳をもって光目を導き済度していた阿羅漢は、即ち今日の無尽意菩薩である。光目の母は即ち今日の解脱菩薩である。そして光目こそ即ち今日の地蔵菩薩に他ならない。久遠の劫にわたりて、かくも大いなる慈悲をもって、恒河沙の如き誓願を発して広く衆生を度してきたのだ。未来世において、善を修めず悪を造り、因果を信ぜず、邪淫・妄語を為し、両舌・悪口を行い、大乗を誹謗する男女がいるとすれば——かくの如き罪を犯した衆生は必ず悪道に堕ちる。しかし、もし善知識に出遇い、弾指の間に地蔵菩薩に帰依するよう勧められたなら、たちどころに三悪道の報いから免れるであろう。もし志誠に帰依し、恭敬をもって瞻礼・讃歎し、香華・衣服・種々の珍宝、あるいは飲食を供えて菩薩に奉仕するならば——来たるべき百千万億劫にわたりて常に天上に生まれ、殊勝なる妙楽を享受する。天福が尽きて人間に生まれ変わっても、百千劫にわたりて常に王位にあり、過去世の因果と来歴を悉く憶念することができるのだ。」

定自在王よ、地蔵菩薩の威神力の不可思議なること、かくの如し。広く一切の衆生を利益す。汝ら菩薩たちは、この経を記憶し、広く流布すべし。

「定自在王よ、地蔵菩薩はまさにこのように不可思議なる威神力を具え、広く一切の衆生を利益しているのだ。汝ら菩薩たちは、この経を記憶し、広く世に弘めるべきである。」

定自在王菩薩、仏に白して言った。「世尊よ、どうかご心配なさいませぬよう。我ら千万億の菩薩摩訶薩は、必ずや仏の威神力を以て、この経を広く説いて閻浮提の衆生を利益いたします。」かく言い終えて、定自在王菩薩は合掌し、恭しく礼拝して退いた。

定自在王菩薩は仏に言った。「世尊よ、どうかご心配なさいませぬよう。我ら千万億の菩薩たちは、必ずや仏の威神力を以て、広くこの経を説き、閻浮提の衆生を利益いたしましょう。」かく言い終えて、定自在王菩薩は合掌し、恭しく礼拝して退いた。

その時、四天王は共に座より起ち、合掌恭敬して仏に白して言った。「世尊よ、地蔵菩薩は久遠の劫より以来、かくの如き大願を発しておられます。なぜ未だ衆生を度し尽くさず、さらに広大なる誓願を重ねておられるのでしょうか。世尊、願わくはお説きください。」

その時、四天王(東西南北の四方を守護する偉大なる護法の天神)は皆共に座より起ち、恭しく合掌して仏に言った。「世尊よ、地蔵菩薩は遥かなる昔より以来、かくの如き大願を発しておられます。なぜ未だ衆生を度し尽くさず、さらにいっそう広大なる誓願を重ねておられるのでしょうか。世尊、どうかお聞かせください。」

仏、四天王に告げたまう。「善きかな、善きかな。今、汝らと、現在未来の一切の天人衆生の広き利益の為に、地蔵菩薩がこの娑婆世界の閻浮提にて、生死の道の中にいかにして慈悲をもって一切の罪苦の衆生を救い済度したか、その方便を説こう。」

仏は四天王に告げた。「善きかな、善きかな。今、汝らと、現在と未来の一切の天人衆生の広き利益の為に、地蔵菩薩がこの娑婆世界の閻浮提にて、生死の道の中にいかにして慈悲をもって一切の罪苦の衆生を救い済度したか、そのあらゆる方便を説こう。」

四天王言った。「然り、世尊よ。喜んでお聞きいたします。」

四天王は言った。「はい、世尊よ。喜んでお聞きいたします。」

仏、四天王に告げたまう。「久遠の劫より以来今に至るまで、地蔵菩薩は衆生を度脱してきたが、その願は未だ満ちず。この世の罪苦の衆生を悲愍し、さらに未来の無量劫にわたりて因果の蔓が尽きることなく伸び続くを観じて、また重ねて大願を発したのだ。かくして、この娑婆世界の閻浮提にて、百千万億の方便を用いて衆生を教化す。」

仏は四天王に告げた。「久遠の劫より以来今に至るまで、地蔵菩薩は衆生を度脱し続けてきたが、その願はなお満たされていない。この世の罪苦の衆生を慈悲をもって憐れみ、さらに未来の無量劫にわたりて衆生の因果の業が尽きることなく蔓のように伸び続けるのを観じて、再び大いなる誓願を発したのだ。かくして、この菩薩は百千万億の方便を用いて、我らの娑婆世界の閻浮提にて衆生を教化しているのである。」

四天王よ、地蔵菩薩は、殺生する者に遇えば、短命の報いを説く。盗みを為す者に遇えば、貧苦の報いを説く。邪淫を為す者に遇えば、雀鴿鴛鴦に生まれる報いを説く。悪口を為す者に遇えば、眷属の争いの報いを説く。誹謗を為す者に遇えば、舌なきか口瘡の報いを説く。瞋恚の者に遇えば、醜陋残疾の報いを説く。慳吝の者に遇えば、所求不得の報いを説く。飲食無度の者に遇えば、飢渇咽病の報いを説く。畋猟を恣にする者に遇えば、驚狂喪命の報いを説く。父母に逆らう者に遇えば、天地災殺の報いを説く。山林に放火する者に遇えば、狂迷して死ぬ報いを説く。継子や実子を虐待する者に遇えば、現世にて鞭打たれる報いを説く。網にて雛鳥を捕る者に遇えば、骨肉離散の報いを説く。三宝を謗毀する者に遇えば、盲聾唖の報いを説く。法を軽んじ教えを慢じる者に遇えば、永く悪道に処する報いを説く。常住の物を乱用する者に遇えば、億劫にわたりて地獄を輪廻する報いを説く。清浄の行者を汚し、僧を誣告する者に遇えば、永く畜生に生まれる報いを説く。湯火・刃具にて生き物を傷つける者に遇えば、輪廻して命をもって償う報いを説く。斎戒を破る者に遇えば、禽獣に生まれ飢えに苦しむ報いを説く。道理なく物を浪費し破壊する者に遇えば、求むるに足らざる報いを説く。驕慢自大の者に遇えば、下賤卑使の報いを説く。両舌にて争いを起こす者に遇えば、舌なきか百舌の報いを説く。邪見を持つ者に遇えば、辺地に生まれる報いを説く。

「四天王よ、地蔵菩薩は殺生する者に遇えば、短命の報いを説く。盗みを為す者に遇えば、貧苦の報いを説く。邪淫を為す者に遇えば、雀・鴿・鴛鴦(色欲に纏わる鳥)に生まれる報いを説く。悪口を為す者に遇えば、眷属不和の報いを説く。他人を誹謗する者に遇えば、舌なきか口瘡の報いを説く。瞋りやすき者に遇えば、醜く生まれ、体が不自由となる報いを説く。慳吝の者に遇えば、求むるものを得られぬ報いを説く。節度なく飲食する者に遇えば、飢渇と咽喉の病の報いを説く。恣に畋猟する者に遇えば、狂乱して命を失う報いを説く。父母に逆らう者に遇えば、天災地変の報いを説く。山林に放火する者に遇えば、狂い惑いて死ぬ報いを説く。継子や実子を虐待する者に遇えば、来世にて鞭打たれる報いを説く。網にて雛鳥を捕る者に遇えば、骨肉離散の報いを説く。三宝を誹謗する者に遇えば、盲・聾・唖に生まれる報いを説く。法を蔑ろにし教えを軽んずる者に遇えば、永く悪道に処する報いを説く。常住の物を損壊・乱用する者に遇えば、億劫にわたりて地獄を輪廻する報いを説く。清浄の行者を汚し僧を誣告する者に遇えば、永く畜生に生まれる報いを説く。湯・火・刃にて生き物を傷つける者に遇えば、輪廻して命をもって償う報いを説く。斎戒を破る者に遇えば、禽獣に生まれ飢えに苦しむ報いを説く。道理なく物を浪費し破壊する者に遇えば、求むるに足らざる報いを説く。驕慢の者に遇えば、下賤卑使の報いを説く。離間の言葉を弄して争いを起こす者に遇えば、舌なきか百舌の報いを説く。邪見を持つ者に遇えば、辺地に生まれる報いを説く。」

閻浮提の衆生はかくの如し。身・口・意の悪習によりて百千の報いを生ず。今日、我が説きしところは略してその概要を述べたのみなり。閻浮提の衆生の業には種々の差別あるが故に、地蔵菩薩は百千の方便を用いて教化す。これらの衆生は先ずかくの如き報いを受け、後に地獄に堕して、一劫を経るも出づること能わず。故に汝ら、人民を守護し国土を護る者よ、これらの種々の悪業をして衆生を惑わし迷わすことなきようにせよ。

「閻浮提の衆生はかくの如し。身・口・意の悪行と悪習が百千の報いをもたらす。今日、我が説いたところはその概要を略述したに過ぎない。閻浮提の衆生が造る業は千差万別であるが故に、地蔵菩薩は百千の方便を用いて教化するのだ。これらの衆生は先ず述べたる報いを受け、その後地獄に堕して、一劫を経ても出ることができない。故に、人民を守護し国土を護る天王たちよ、これらの悪業をして衆生を惑わし迷わすことなきようにせよ。」

四天王はこれを聞いて涙を流し、悲しみの溜め息をついた。合掌して退いた。

これを聞いた四天王は涙を流し、深く悲しんで溜め息をついた。恭しく合掌して退いた。

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